IPS細胞による難聴の治療

 

 

現代で注目を集めているIPS細胞とは?

現代ではIPS細胞(induced pluripotent stem cell)が注目を集めており、ニュースでも取り上げられたことがあるので一度は耳にしたことがあるかもしれません。

 

IPS細胞がどのようなものなのか以下では簡単にまとめてみました。

 

・2006年に誕生した新しいタイプの多能性幹細胞

・人間の皮膚を中心とする体細胞に因子を導入して培養して作られる

・無限に増殖する力を持っていて京都大学の山中伸弥教授が初めて作製に成功させた

・臓器の作製に加えて新薬開発の応用として今後の医療に重要な役割を担っている

・IPS細胞を使って自毛植毛の無限培養にも期待できるのではないかと研究が進んでいる

 

一言で説明すると万能な細胞だと表現でき、私たちの身体が持っている自己修復力を上手く引き出して利用できます。


IPS細胞を使って難聴を治療できるの?

補聴器や人工内耳では完全に聞こえのトラブルを補うことはできず、現在ではIPS細胞を使った治療も難聴に役立てられるのではないかと考えられています。

 

そもそも、難聴を発症して聞こえが悪くなってしまった際に、どの部分を治療すれば良いのか見ていきましょう。

 

伝音性の難聴:中耳炎や鼓膜に穴が空くと耳の神経に音が伝わる際に障害が出る

感音性の難聴:蝸牛(かぎゅう)を含む聴神経や脳の聴覚野までに障害があると聞こえが悪くなる

機能性の難聴:中耳や内耳は正常でも、精神的に何かしらの負担があると聴こえにくくなる

 

異常が引き起こされる場所は個人によって異なるものの、IPS細胞を使った難聴の治療では有毛細胞そのものを再生させたり内耳内に入れて再生させたりと2種類の方法が考えられます。

 

耳そのものを復活させることはできませんが、再生医療として役立てられるIPS細胞であれば有毛細胞も聴神経も再生できるのです。

 

米スタンフォード大学では有毛細胞の再生に成功しており、決して不可能な方法というわけではありません。


IPS細胞には様々な課題がある

細胞を無限に再生させられると聞くと画期的な治療だと考えるかもしれませんが、IPS細胞には様々な課題があります。

 

「製作されたマウスの約20%の細胞にガン化が見られた」「移植した部位に拒絶反応が引き起こされるリスクがある」「実用されても高額な治療費を負担しなければならない」といった問題点をクリアしなければならず、現在でも人間への治療として使われていない理由です。

 

難聴自体のメカニズムも完全には解明されていないので、医薬品や注射など症状を和らげる努力を少しずつ行ってみてください。